現役インサイドセールスのユトルです。
今回は株式会社スマートドライブさん主催のこちらのイベントへ参加させて頂きました。

『InsideSales Study Session/インサイドセールスのキャリアと市場価値』
通称「ISSS」
パッとみた瞬間は「ISS=国際宇宙ステーション」かと思ってしまいますね。
会場は六本木グランドタワー 41階にある株式会社Yappliさんのオフィス。
初めて伺ったんですが、何もかもが綺麗で壮大で驚きました。
まず、エレベーターが巨大です。
ロードオブザリングのトロールが乗れるくらいでかいです。ホビットなら30人は押し込めるんじゃないでしょうか?
そして、オフィスがハイパーお洒落です。
お洒落すぎるせいで、本当は色々見たいのに、きょろきょろしたら田舎者だと思われそうだったので(まぁ田舎者ですが)結果的に撮れた写真はこれだけでした。

正直に言いましょう。
「こんな景色が見えてたらかえって仕事なんてできない!!」
「というかコーヒー片手に恋人と語らいたくなるだけ!!」
ちょっと明かりを落としてみてくださいよ。
あっという間にムーディーな雰囲気の出来上がりですよ。社内恋愛が頻発ですよ!
しかも反対側のオープンスペースにはお洒落なバースタンドですよ!!
ビール飲み放題ですよ。僕はお酒飲めないけどこの空間なら飲み始めますよ!!!
そんな嫉妬するぐらいけしからんことが多発しそうな最高なオフィスで開催された今回のイベント。
コンテンツは大きく2つあり、前半は「インサイドセールス/究極の営業術」でおなじみの水嶋 玲以仁さんによる「インサイドセールスの日米キャリアの差」に関する講演。
後半は、「株式会社スマートドライブ」「ベルフェイス株式会社」「株式会社ヤプリ」 のインサイドセールス部門を担当する方々が登壇。キャリアと市場価値に関するパネルディスカッションが展開されました。
普段はあまりイベントに行かないユトルですが、今回参加を決めた理由は、テーマが「キャリア」だったからです。
一昨年から開催されている「インサイドセールスカンファレンス」を筆頭に、インサイドセールスにまつわるイベントやセミナーはあちこちで行われていますが、「ノウハウ」「スキル」「導入方法」といったテーマが多く、キャリアを題材にしたものは少ないと感じていました。
僕自身、このブログを始めたきっかけとして「今まで全くインサイドセールスに縁がなかった人に、選択肢の一つとしてインサイドセールスを考えてほしい」という思いがあります
なぜなら、インサイドセールスは単なる「営業強化/効率化」や「SaaSの一部門」といったパースペクティブで見るものではなく、「日本人の働き方を根底から変える」「国民の生産性を大きく向上させる」「新たな雇用を産み出す」といった事を実現する一つの鍵であり、個人・会社・国にとって大きなポテンシャルを秘めた仕事だと考えているからです。
そんな将来性をもつ仕事のキャリアについて、第一線で活躍する方々は今後をどう思っているのか?
「これを聞かないという選択肢はない!」そう思い、今回のイベントに参加しました。
さて、前置きが長くなりましたが、ここからは本題です。
実際の講演・トークセッションの中でも、僕が気になったポイントに絞ってシェアしますね!!
※オフィスについて批判とも称賛ともつかぬ発言をしましたが、正直に言います。最高すぎて目眩いがしました。うちのオフィスも相当最高ですが、ちょっと負けた・・・と思いました(笑)
日米間におけるインサイドセールスのキャリアの違い
水嶋さんの講演では、日米のインサイドセールスに対するキャリアの立ち位置や、評価がどう違うのか?というテーマに迫ります。
個人的にも、アメリカでは一体今どうなってるのか気になっていたテーマでした。
数字から見たインサイドセールスの違い
○インサイドセールスの給与水準
前提として、インサイドセールスに限らず日米間の年収には1.5倍くらいのひらきがあります。2017年のOECDが集計したデータでは、日本人の平均年収が400万円弱に対し、アメリカは600万円ほど。
日本国内のインサイドセールスの平均給与というデータは存在しないため明確には比較できませんが、米国での目安は以下の通りです。
例1)インサイドセールス 経験5年・サンフランシスコ在住
ボトム:500万 ミドル:720万 トップ:1070万
例2)インサイドセールスマネジャー 経験10年 IT企業勤務 サンフランシスコ在住
ボトム:810万 ミドル:1120万 トップ:1550万
この数値は「payscale.com」というアメリカのサービスを元にしています。特定の条件を入れると、一体いくらの年収がもらえるかが分かるサイトです。3階層に分かれ、ミドル層の割合が最も多いです。
肌感ですが、国内のインサイドセールスプレイヤーで年収700万円代は結構限られている方かなと思います。もちろん、米国なので出来高払い、目標達成のインセンティブが大きいという点もありますが、前提となる年収差も影響してか日本より給与は高いと言えます。
○インサイドセールスという仕事が占めるポジションの割合
・米国の営業人員の約半数がインサイドセールス
・外勤営業の約45%がインサイドセールスと同じ仕事を行っている
・売上500億円以上の企業も、外勤営業の割合が70%まで減ってきている
国内におけるキャリアの可能性
日米でインサイドセールスの給与に差が出る理由は、
・圧倒的な認知度やシェアの違い
・プロフェッショナルセールスという仕事の存在感
・市場や労働環境の成熟度
といったものが考えられるそうです。
国内でインサイドセールスを経験している人材は、決して多いとは言えません。水嶋さんの感覚では1%もないのではと言っていましたが、その可能性も十分あります。
また、インサイドセールスという仕事はもちろん、リモートワークへの理解や、それができるインフラ・組織文化といったものは、まだ追いついていないという側面もあります。
しかし、国内でも地方都市を中心にインサイドセールスのリモートワークポジションなどは少しずつ増えてきており、時間はかかるものの、普及の流れはこのまま進んでいくと見ています。
給与の観点では、他にも「インサイドセールスがアポ取り部隊」となった結果、労働価値が引き上がらない状況も生まれていると言います。多くのインサイドセールス組織が、アポ数をKPIに置いている事も要因の一つだそうです。
インサイドセールスとしてのキャリア構築へ向けて
○マネジメント層への提言
・インサイドセールスの業務範囲を拡張し、利益/売上の貢献につなげる
・KPIを量と質に広げてバランスをとる
○プレイヤー層への提言
・教育機会を設ける
・デジタルマーケティングを学ぶ(グーグルの広告代理店資格の習得がおすすめ)
・海外における営業理論を学び、応用する
より広義なキャリアにおけるアドバイスとしては「その会社で何にどう貢献し、学びを得るか?」という事が大切だと、水嶋さんご自身の経験から語っていました。
インサイドセールスのキャリアと市場価値
後半は、「株式会社スマートドライブ」「ベルフェイス株式会社」「株式会社ヤプリ」より4名の方が登壇し、パネルディスカッションが行われました。
登壇した方々のプロフィールはコチラ
弘中 丈巳氏
(株式会社スマートドライブ レベニューマネジャー)
2019年に株式会社スマートドライブにレベニューマネージャーとして入社。マーケティング/インサイドセールス/フィールドセールス/カスタマーサクセス/カスタマーサポート/ビジネスディべロップメント領域のマネージャーとして、「採用」「組織デザイン」「オペレーショナルエクセレンス」の3つのピースによって収益最大化を実現させるべく従事。2014年に外資系日本法人の1人目の社員としてインサイドセールスの立ち上げを行ったところからインサイドセールスに関わっている。
横山 豊 氏
(べルフェイス株式会社 インサイドセールスG マネジャー)
2012年に(株)オプトに入社。その後グループ会社のソウルドアウト(株)へ転籍し、延べ500社の中小・ベンチャー企業のWebマーケティング支援を担当。2017年2月、当時従業員数5名のベルフェイス(株)にジョインし、セールス・マーケティング事業の立ち上げを経験。入社当時の導入社数200社を2年間で900社まで増加させる。現在はマーケティングからセールスの連携強化を担う。
今野 雄貴 氏
(株式会社スマートドライブ インサイドセールス マネジャー)
2019年9月株式会社スマートドライブにインサイドセールスの体系化を主ミッションとし入社。インサイドセールスから経営・業績にインパクトを与えるべく、それに付随する業務全般を担当。インバウンド・アウトバウンドのインサイドセールスをする傍ら、メンバーの教育、関西・東海オフィス開設の本社からのサポートなどに直近は従事。前職の株式会社ビズリーチではトレーニング部門を立ち上げ、トレーナーとして延べ50名以上のオンボーディングを支援。また、BDR、Regionチームのマネジメントも兼任。
小林 洋介 氏
(株式会社ヤプリ インサイドセールス BDR)
2019年7月に株式会社ヤプリ入社。インサイドセールスの中でBDRチーム立ち上げを担う。ターゲット企業からの受注を獲得するべく、マーケティングチームとフィールドセールスとの連携強化、メール/電話・手紙を活用しアウトバウンドでの商談獲得業務に従事。 前職の株式会社マルケトではインバウンドメインのSDR、BDRの立ち上げ、及びフィールドセールスも経験。
インサイドセールスについては経験も実績も豊富な方々ばかり。
パネルディスカッションは、参加者からの質問をベースに展開されました。
インサイドセールスは営業への準備期間なのか?
インサイドセールス組織の中には、営業やフィールドセールスに至る教育機関と位置づけられる事もあります。
これについては「インサイドセールスと営業/フィールドセールスは全く別物」という意見が出ていました。
「PDCAを高速で回せる」「営業未経験者にとっては、営業的スキルの基礎作りになる」といったメリットがある一方、「商談創出」と「商談」では、使う筋肉が異なる点も多くあります。
今野さんは「展示会で名刺交換をさせると、圧倒的にインサイドセールスが強い」「アポ取り競争をさせたとしても、インサイドセールスが勝つ」と言っていました。理由は、コミュニケーションスタイルの違いにあります。
時間の限られる電話では5分〜10分でサービス紹介、課題の顕在化、アポイントを切るところまで話を展開していきます。他方で営業は、1回あたり約1時間の商談が基本です。双方で求められる交渉術やコミュニケーションスタイルが違うため、同じ土俵で戦った場合、結果には差が出るそうです。
もちろん、インサイドセールスの経験が対面営業や訪問営業に生きることは間違いありませんが、十分とは言えません。逆もまた然りで、訪問営業のスキルのみでインサイドセールスをこなす事も難しいでしょう。
安易に営業への教育・準備期間と捉えず、双方の違いや目的をクリアにした上で、役割を決める必要がありそうですね。
インサイドセールスを学ぶには、どんな組織がいいか?
ずばり「マーケティングが強い会社」がおすすめと聞きました。
リード獲得とナーチャリングを担うマーケティングは、インサイドセールスの上流工程であり、密接な繋がりがあります。
インサイドセールスは、単にヒアリングしたり商談を創出するだけでなく、顧客のステータスや変化を敏感に感じ取り、最適なナーチャリング施策へ向けたフィードバック、セミナー/イベントの企画といった声をマーケティングへ届ける役割もあります。
組織としてインサイドセールスからの声を実現するだけのパワーも必要ですし、マーケティングが強ければ、そこから学べる機会も豊富にあります。水嶋さんも前半で「インサイドセールスはデジタルマーケティングを学んだ方がいい!」と言っていましたが、インサイドセールスだけができるのではなく、マーケティングの視点も持ち、両者を繋ぐスキルがあれば確実に市場価値は上がるでしょう。
インサイドセールススキルを高める上で大切な事
三者三様で答えが違い、面白かったですね。
・小林さん
「顧客がも持つ課題への好奇心」
ここにどれだけ寄り添えるかが、良い提案・良い商談に関わってきますよね。
・今野さん
「学習欲、事例や業界知識などを貪欲に学べること」
間違いないです。営業も知識が必要ですが、商談までの準備期間があります。インサイドセールスは日々多様なお客様と接するので、常に学び続ける姿勢が大事だと思います。
・横山さん
「コミュニケーション力」「仮説構築力」「文章力」
「1つだけ」と条件がありましたが、横山さんだけは3つ出してました(笑)
何気に文章力は大事ですね。言語化する力とも言えます。
インサイドセールスで活躍できる人材の傾向
未経験でもインサイドセールスをキャリアとして選び、活躍している人の傾向はあるか?
ビズリーチで50名以上のインサイドセールスをトレーニングしてきた今野さんは「接客業の経験者」を挙げていました。
例えば、三越や銀座の高級店で1着何十万円もするコートを販売していた方は、丁寧な言葉遣いができ、相手のニーズを汲み取る力も非常に高く、そのスキルがそのままインサイドセールスでも生きるそうです。
また、意外だったのが「ウェディングプランナー」
数時間で何百万円というお金をお客様から頂くという点で、営業力もありつつ、相手の細かな要望までヒアリングする力が抜群なんだそうです。「顧客に寄り添う」という姿勢もあり、言われてみれば親和性の高い職業ですよね。
他にも、コールセンター経験者の方は活躍しているそうです。スキルはもちろんですが、どちらかと言えば「苦情・クレーム」が多いコールセンターと違い、インサイドセールスは顧客から「欲しい!!」と求められるシーンもあります。コールセンター と違い、お客様との会話を楽しめる事でモチベーションアップにも繋がるんですね。
インサイドセールスの市場価値はどうなるか?
満場一致で「上がる」でした(笑)
印象的だったのは「インサイドセールスの枠に囚われない事が重要」という話です。
インサイドセールスの需要は益々高まる一方、経験者はまだごく僅か。インサイドセールス経験があるだけでも、市場価値は一定のラインまで上がっていくでしょう。
そこから更に上を目指すには、インサイドセールスだけではないスキル、例えば他の領域との接続・連携を図り、効果の最大化を図るといったスキルが求められます。
いわゆる「マーケとセールスのハブになる」云々もありますが、スケールとしてはもっともっと大きい視点。インサイドセールスという「手段」を用いることで、事業に対してどれだけ大きなインパクトを与えられるか、です。
現に、今回登壇されている方々も、プレイヤーとしての能力を磨いた上で、インサイドセールスの役割を拡張させたり、従来にはない働き・意味をもたせることで、事業へ貢献しようとされている方ばかりです。
一言でまとめると、インサイドセールスとしてのキャリアアップや市場価値を向上させるなら「インサイドセールスだけを見てはいけない」という事なんだと思います。
もちろん、プロフェッショナルとしてその道を極めるというルートもありありです。ただ、日本のインサイドセールスを取り巻く環境を見るに、より広くニーズがあるのは前者の方かなと思います。
まとめ
録音をしていたわけではないので、一言一句同様とはいきませんが、登壇者の方のメッセージを再現することを意識しました。
インサイドセールスが持つ仕事としてのポテンシャルに惹かれ、チャレンジを決めた身としては、共感する部分/知り得なかった可能性を感じる部分もあり、参加できて良かったと思っています!
それにしても、ヤプリさんのオフィスはオシャレでした…。
絶賛、インサイドセールスを募集中とのことなので、少しでも興味をもった人は是非応募してみてくださいね!
この波に乗らない手は、ないっっっ!!!
以上、現役インサイドセールスのユトルがお届けしました!